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睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

医学的には、10秒以上の呼吸停止が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、または1時間に5回以上発生する場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されます。この状態が続くと、血中酸素濃度の低下や脳の覚醒が引き起こされ、心臓や血管に負担がかかります。

特に、高血圧やメタボリックシンドロームをお持ちの方、いびきをかく方、日中に強い眠気を感じる方は注意が必要です。この疾患を放置すると、居眠り運転事故や作業中の労災事故のリスクが高まり、重大な損害を引き起こす可能性があります。

自覚症状や家族からの指摘がある場合は、早期の検査と治療をお勧めします。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)はどんな人がかかりやすいの?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、上気道が狭くなったり塞がれたりすることで呼吸が妨げられる病気です。肥満気味の中年男性に多いイメージがありますが、やせている方や女性、さらには子どもにも発症する可能性があります。

以下のような体型の特徴を持つ方は、特にリスクが高いとされています。

  • 首が太く短い
  • 舌や舌の付け根が大きい
  • 下顎が小さい、または後退している

これらの特徴をお持ちの方は、気道が閉塞しやすいため注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)はどんな症状が見られるの?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、いびきや日中の眠気、倦怠感、熟睡感の欠如など、多岐にわたる症状を引き起こします。
以下のような症状に心当たりがある場合は、医師に相談してください。

睡眠中の症状

  • 激しいいびき
  • 呼吸停止
  • 何回も目が覚める

起床時の症状

  • 熟睡感がない
  • 口の中がかわく
  • 頭がすっきりしない

日中の症状

  • 運転中や会話中に眠くなる
  • 集中力の低下

特に、いびきをかく方の約7割がSASに関連しているとも言われています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断方法

1.簡易検査器によるチェック

家族からいびきや呼吸停止を指摘された場合は、専門医療機関を受診してください。診察では、いびきや日中の眠気、生活習慣病の既往歴について問診が行われます。

問診でSASが疑われる場合、自宅で簡易検査器を使用し、いびきや呼吸の状態を記録します。この結果に基づき、必要に応じて治療を開始します。

2.終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査

簡易検査でSASの疑いが濃厚な場合、または詳細な診断が必要な場合は、入院して「終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査」を行うことがあります。診断結果に基づいて、適切な治療方法を医師と相談して決定します。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法

CPAP治療:第一選択の治療法

CPAP治療は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な治療法です。鼻マスクを装着し、機器から送られる空気で気道を開放することで、無呼吸を防ぎます。この方法は世界的にも確立されており、他の治療法(マウスピースや外科手術)と比較して効果が高いとされています。

CPAP治療を継続することで、深い眠りが得られ、無呼吸症状の改善だけでなく、高血圧などの生活習慣病の予防や改善も期待できます。

CPAP治療は継続が大切です。

CPAP治療は効果が高い一方で、根治療法ではないため、継続使用が重要です。慣れるまでに2–3か月かかる場合もありますが、日々の継続が症状改善の鍵となります。
また、治療効果を高めるために、減量や禁煙、飲酒制限などの生活習慣の改善も併せて行うことが推奨されます。

CPAP治療の課題

一部の患者さんには、以下のような不快感が生じることがあります。

  • 空気の漏れ
  • 鼻づまりや鼻水
  • 口の中がかわく
  • 夜中に目が覚める など

これらの問題がある場合は、医師と相談し、機器の調整や対策を検討しましょう。

治療費について

中等症以上の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された場合、健康保険が適用されます。自己負担額は3割負担で、月額約4,000円です。ただし、健康保険を適用するには、毎月1回の外来受診が必要です。